渡邉智彦 | P研 : プラズマ理論研究室 | 名大物理教室

ここでは、これまでの研究成果から、そのいくつかを紹介します。

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位相空間上の渦

大振幅のプラズマ波に捕捉された電子は、位相空間上を渦巻きながら複雑な軌道を描きます。それとともに分布関数構造は、引き延ばされ、幾重にも折り曲げられて上図右のような微細構造が発達します。
[関連論文: T.-H.Watanabe, and H.Sugama, “Vlasov and drift kinetic simulation methods based on the symplectic integrator”, Transp. Theo. Stat. Phys. Vol.34, (2005), pp. 287-309.]

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トーラスプラズマに生じる流れ構造

核融合を目指した実験ではドーナツ型の磁場中にプラズマを閉じ込めますが、中心温度の高いところから対流が発生し、乱流へ遷移するとともに大規模な流れ構造が自発的に作られます。ここでは5次元運動論的シミュレーションでその流れ構造と乱流輸送の関連を調べています。
[関連論文: T.-H.Watanabe, and H.Sugama, “Velocity-space structures of distribution function in toroidal ion temperature gradient turbulence”, Nucl. Fusion Vol.46, No. 1, (2006) pp. 24-32. 他]

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プラズマ乱流と輸送の制御

プラズマ乱流自身が作り出す大規模な流れ構造を、磁場により外部から制御することで乱流輸送を抑制できることが理論とシミュレーションにより分かってきました。非軸対称形状をもつトーラス型プラズマにおける磁場構造の効果をジャイロ運動論的シミュレーションで調べた結果、左の最適化磁場配位において乱流輸送が抑制される様子が分かりました。
[関連論文: T.-H. Watanabe, H. Sugama, and S. Ferrando-Margalet, “Reduction of Turbulent Transport with Zonal Flows Enhanced in Helical Systems”, Physical Review Letters, Vol.100, No. 19, (2008) pp. 195002-1 - 195002-4. 他]

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磁気圏ー電離圏結合系とオーロラ

オーロラ現象は、地球磁場の影響をうける磁気圏プラズマと電離層のプラズマの相互作用により発生します。その非線形発達過程を3次元磁気流体と二流体の結合モデルを使ったシミュレーションで調べています。電離層上に密度構造が発達し、それとともに磁気圏プラズマに渦が発達してゆく様子が分かってきました。
[関連論文: T.-H. Watanabe, “Feedback instability in the magnetosphere-ionosphere coupling system: Revisited”, Physics of Plasmas, Vol. 17, No. 2, pp. 022904-1 – 022904-8, February 2010. 他]